PCのキーボードを何にするか、ということは大多数の人にとってはどうでもいい問題なのだけど、はまってしまったものはしょうがない。
そんな感じでリアフォで終わったと思ったキーボードコンテンツには終わりなき沼でした、という話。
文字が好きではない人は動画もあるのでそちらを見ていただきたい。
REALFORCEとの出会い
2019年末、清水の舞台から飛び降りる気持ちでリアルフォースXE3100を購入した。こいつはフルサイズキーボードで荷重30g、静電容量無接点方式のキーボードで高級キーボードの代表格。
リアルフォースというのはキーボード界の横綱的な存在で、FILCO Majestouch茶軸を使用していた自分にとっては憧れと畏怖の対象だった。値段は高いし、ザ・事務用品といったデザインだしで学生のころは興味はあるものの手を出すには至らなかった。
しかし歳月は過ぎていつの間にか社会人になっていたし、せっかくだし職場でも使えるキーボードはないかなーと思って買うことにしたのが東プレリアルフォース、XE3100だ。
このキーボードの素晴らしいところは打鍵感と疲労感のバランスが素晴らしいところ。
キーボードは荷重と押し込む際の特性によって打鍵感が決まる。
一般的なキーボードの荷重は45gあたりだ。一般的なだけあって最大公約数な数字ではあるんだけど、かなり人によって好みが異なる数字でもある。
そしてこのリアルフォースは荷重が複数パターンあってユーザーのニーズに応えている。
荷重の種類は55g、45g、30g、変荷重の4パターンだ。ちなみに変荷重っていうのは力が入りにくい小指などで押す位置の荷重が軽くなっているモデルだ。
自分が買ったのは30gモデルで羽のように軽い。触るだけでタイピングしてしまうという人がいるくらい。仕事で使うことを意識していたので疲労の感じにくい軽いモデルを考えていたので自分は30gモデルがベストマッチ。
虹色に光るわけでもないしデザイン的には特徴がないといったことが特徴なんだけど、だからこそ仕事で使っていても目立たない感じ。
そして1年以上リアルフォースを使っていて感じたのは何より楽ちん。荷重が軽いのもさることながら高品質なだけあってキーの動きがスムーズだ。
リアルフォース(30g)のいいところ
- キーボード入力時の疲労感が少ない
- 目立たないデザインで仕事に使いやすい
そして感じたリアルフォースのデメリット
しかし1年ほど使っているうちにデメリットも見えてきた。
デメリットは大きく3つある。
- デカイ、重い
- 有線方式
- 荷重が軽すぎてピーキー
それぞれ説明していこう
- デカイ、重い
デスク上で圧倒的な存在感だ。
デュアルディスプレイをしているデスクだから小さいわけではないのだけれど、リアルフォースを置くと存在感がすごい。
テンキー有りモデルだったのでマウスの位置が遠い位置にあるのも少し不便なポイントだ。ホームポジションを取ろうとするとキーボードが右側に大きく張り出してマウスが遠くなってしまうのだ。重量は1.4kgもあるのでびくともしない堅牢な印象を受けるのだけど、持ち運ぼうとするとそれらがデメリットとなって降りかかってくる。
- 有線方式
先ほどの画像でもあったが有線だからケーブルが邪魔になる。デスクをすっきりさせたいときは障害になる。リアルフォースはケーブルの取り回しができるように裏面に溝があるので少しはマシだがそもそもケーブルがあるという点ではスマートさにかける。
- 荷重が軽すぎてピーキー
これはさっき書いたメリットと表裏一体なんだけれど、体調によって打鍵の快適さが変わってくる。例えば寒い日の朝なんかに手が少しかじかんでしまうとそれだけで打鍵が普段のようにできなくなる。他のキーボードでは感じにくかったけれど荷重が軽すぎるせいで自分の些細な変化もわかるようになってしまった。受け止めてくれるマイルドさは控えめで、使い手の状況を如実に反映してくる。
これらのデメリットは買う前から1ヶ月近く店頭試打などでじっくり検討していたので、ある程度はわかっていたことだった。なので積極的に買い換える理由はなかったのだけれど、昨年からのコロナ禍でデスクをスマートにすることやキーボードを持ち運ぶ必要性が生まれてきた。在宅勤務と出社勤務で入力環境をそろえたいし、自宅に持ち帰ったパソコンを置くスペースも必要だ。つまり、リアルフォースを買った後にワイヤレスの需要がにわかに出てきたのである。
そして購入したHHKB
そして購入したのがHHKB HYBRID TYPE S JP配列墨モデル
高級キーボード界ではリアルフォースと双璧をなす存在だ。両者の共通点は静電容量無接点方式。
技術的な紹介は省くが、つまるところ打鍵感と高い耐久性が共通点でありセールスポイントである。
むしろそれ以外は全く違う製品といっていいレベルで、表にまとめるとこんな感じ。
これはキーボードを使うシチュエーションによるのだけれど、
個人的に大きく違いを感じたのは接続方式、重量(サイズ感)だ。
先ほどと同じデスクにHHKBをおいてみた。HHKBがだいぶ小さいことがわかる。
マウスはほぼ同じ位置にあるが、リアルフォースはギリギリの位置。対してHHKBではゆとりがあってもう少し左に寄せることもできそうだ。※写真は手持ち撮影のため少し位置が違うのは勘弁して欲しい。
またケーブルがないことも大きい。取り回しを考えなくてもいいのは楽だ。飲み物を注いだコップを置くときの心配も減るし見た目もすっきりする。完全に据え置きで使うならケーブルの取り回しで工夫もできるのだろうが、ないに越したことはない。
あと、想像するまでもないがリアルフォースの持ち運びは無理だ。1.4kgの重量は半端じゃないし鞄からはみ出る。せめてテンキーレスモデルだったら、と思ったが有線であることもマイナスポイントと考えるとリアルフォースの持ち運び運用は非現実的だといえる。
ベストな入力機器は環境によるところが大きいので人それぞれだが、自分にとっては、この1年でリアルフォースからHHKBへベストなキーボードが変遷していった。ただしHHKBには気をつけなければならない点もある。
This is 変態配列
慣れてしまえばHHKBのキー配列は威力を発揮する。ホームポジション(指を置く基本的な位置)から最小限の指移動で入力をすることが出来るのだ。例えばファイル名の変更にはF2キーを使うと便利だが、HHKBであれば右手でFnキー、左手で数字2キーを押すことで対応できる。一般的な配列のリアルフォースと比較するとファンクションキーはキー約1.5段分距離が近くなるのだ(Fnキーに右手も使わなければいけないけど)
ホームポジションから移動が少ないということはタッチタイピングが捗りやすいということだ。自分の場合、これまでファンクションキーを使うときはキーボードを見て入力していた、手首を浮かして入力していたからホームポジションが崩れるのだ。
しかし、HHKBを使うようになってからは指の移動だけでファンクションキーなども入力できるようになったのでタッチタイピングに挑戦しようかなと思えるようになった。あべこべな話に感じるが、変態配列になることによってタッチタイピングの難易度が下がったのだ。
まとめ
今回個人的にHHKBを購入してよかった点は
- コンパクトサイズで省スペース&持ち運びやすい
- 独特のキー配列により省力化ができた
- ワイヤレス&複数機器登録で様々な機器と簡単接続
HHKBは万人におすすめできるプロダクトではない。正直な話値段が高いし、少し安いリアルフォース(それでも高いけど)を買った方がいいケースも多いだろう。買った自分としてはかなりいいものであったが手放しでおすすめできるかというとうーん。。。間違いなくいいキーボードではあるんだけどね。
それでも、キーボードにこだわってみたいと思ったなら買ってみる価値はあると思う。合う合わないが激しいのがキーボードの常だが、HHKBは中古相場も比較的安定している。合わなかった場合に手放したとしても比較的ダメージは少ないかもしれない。これは高級キーボードならではのメリットともいえるだろう。自分が購入した際もそういう算段があって、試し打ちができずに不安だったが購入した経緯がある。
ちなみに、今回購入したHHKBはHYBRID Type-Sという最上位モデル。他には有線モデルもあるが、HHKBの強みであるワイヤレスを生かすという意味でもHYBRIDモデルをおすすめしたい。HYBRIDなら有線接続もできるしね。